DCTV・NYの良心
いつも賑やかな Chinatown(中華街)。マクド(関西風の省略法)も漢字表記 ↓
その一角に、とても素敵な建物があります。古城のような佇まいですが、元は消防署だったそうです。
実はこちら、DCTV(Downtown Community TV Center)
87 Lafayette Street
と言って、アメリカで最も歴史ある 地域メディアセンター なんです。
1972年に設立された非営利団体で、地元コミュニテイーの問題を
テーマにした作品作りや米国の主要メデイアが取り上げなかった
キューバ、ベトナム、カンボジアなどでの取材をindependentで行い
本物のビデオジャーナリズムを追求してきたプロダクション。
知人の紹介で中を見学させていただくことができました。
ビル内もきれに改装され(何年もかかって地道に直されたそうです)
オシャレで快適な環境。
←2Fの受付前では消防車が出迎えてくれます。
遊び心があって楽しいですね〜
レンタル用の機材や編集ルームが沢山あります。
というのも、こちらでは若者向けにビデオ製作&編集のWorkshop を行っているため。
編集ソフトは全て、Avid からFinal Cut (※)に移行されたそうです。
本場アメリカでもAvid は危うしです。。。
目が釘付けになってしまうのは、
放送に携わる者なら一度は手にしてみたいこれ!
全世界の放送業界において最も権威と歴史があるとされる
Emmy Award(エミー賞)を
なんと、15回も受賞しているのです!!
創設者の一人・ Jon Alpert(ジョン・アルパート)さんは、
冷戦時代のキューバやポル・ポト政権崩壊後のカンボジア、湾岸戦争、
空爆後のアフガニスタンなどの戦場や紛争地へカメラを手に乗り込みリポート。
または犯罪者の一生を間近で追うなど、独自の目線でリアルな社会問題を提起するビデオジャーナリストの第一人者です。
さらに驚くのは、そのジョンさんとビデオを結びつけたのが奥様の津野敬子さん。
タクシー運転手だったジョンさんの活動を敬子さんがビデオで撮影したことから全てが始まったのでした。
40年前、まだビデオが出回っていなかった時代に
このNYで黒髪の日本人女性が自分でビデオカメラを担ぎ
NYの人々を撮影をしていたなんて信じられますか?
ビデオジャーナリストの草分け的存在が日本人女性だったなんて
本当に感動です!
夫婦でDCTVを立ち上げ二人三脚で世界中を駆けめぐり
また地元コミュニティのために無料のビデオワークショップを行うなど、
数々の社会貢献をしてこられました。
津野敬子さんの波瀾万丈な半生とジョンさんの数奇な体験の詳細はこちら →
『ビデオで世界を変えよう』(草思社)に紹介されています。
エピソードがたくさんありすぎてここでは書ききれないため
手抜きをさせていただきます^^;
津野敬子さん(上手)と津野さんをご紹介下さったMariさん(下手)
世の中の悲喜交々を体感してこられた敬子さんは、
とてもニュートラルで温かいほんわかした空気を持った素敵な方。
外出先から戻られたジョンさんは、私たちがアイスティを飲んでいるのを
見て、「Mojito(モヒート:ラムのカクテル)飲む?」
と声をかけて下さる優しい目をしたユーモアたっぷりのジェントルマン。
お二人のこの人間味溢れるお人柄で取材される側もついつい心を開いてしまうのでしょう ♪
ちなみに、私のお願いを快く引き受けて下さったMariさんもギョーカイの大先輩にあたります。
アラフォーなら誰もが知っている大ヒット・トレンディドラマの記録さんとして腕をふるっておられました。
NYにはパワフルで個性的な女性が大勢いて刺激がいっぱいです☆
※Avid もFinal Cutもコンピューターで映像を編集するソフト。Avidはプロ使用だがFinal Cutは価格が安いこともあり一般でもポピュラーになっている。
映像業界ではほとんどがコンピューターを使うNon-linear editing(ノンリニア編集)がメインになっている。
コンピューターを使わないテープからテープへコピーをするアナログ編集をリニア編集と言う。